ある月曜日の朝のことでした。目覚めると、右目のまぶたの裏に、まるで小さな砂粒が入ったかのようなゴロゴロとした違和感を覚えました。寝ぼけ眼で鏡を見ても、目にゴミが入っている様子はありません。まあ、そのうち治るだろうと軽く考え、いつも通りに仕事へ向かいました。しかし、その違和感は時間と共に存在感を増していきました。午後になると、ゴロゴロ感はズキズキとした鈍い痛みに変わり、瞬きをするたびに、まぶたの奥で何かが主張しているのが分かりました。外見上はほとんど変化がなかったので、同僚に気づかれることはありませんでしたが、私自身は仕事に全く集中できませんでした。その夜、おそるおそる指でまぶたの上から触れてみると、小さなしこりのようなものが確認でき、触ると明らかに痛みが増します。これはただ事ではないかもしれない。不安な気持ちで一夜を明かすと、翌朝には痛みはさらに強くなり、まぶたも心なしか腫れぼったく感じられました。もう我慢できないと観念し、私は会社の昼休みを利用して眼科へ駆け込みました。医師は私の話を一通り聞くと、「ちょっとまぶたを裏返しますね」と言って、器具で私のまぶたをひっくり返しました。一瞬の不快感の後、医師は「ああ、これですね。内麦粒腫です」とあっさり告げました。まぶたの裏に、白い膿の点がぽつんとできていたのです。原因は、マイボーム腺という脂を出す腺に細菌が入って化膿したこと、疲れやストレスで免疫力が落ちている時にできやすいことなどを説明されました。思い返せば、確かにこの数週間、大きなプロジェクトの締め切りに追われ、睡眠時間も削っていました。原因に心当たりがありすぎました。抗生物質の点眼薬と眼軟膏を処方され、数日間はアイメイクとコンタクトレンズを控えるように指示されました。薬を使い始めると、あれほどしつこかった痛みは2日ほどで引き、1週間も経つ頃にはしこりもすっかり消えていました。この経験を通じて、体が発する小さなサインを無視してはいけないと痛感しました。そして、日々の健康管理がいかに大切かということを、まぶたの裏の小さな膿に教えられたのでした。