関節リウマチは、長期にわたる治療が必要となるため、医療費の負担も継続的になります。特に、生物学的製剤などの高価な薬剤を使用する場合、その負担は決して軽いものではありません。しかし、日本の医療制度には、こうした患者さんの経済的負担を軽減するための様々な公的支援制度が設けられています。これらの制度を正しく知り、適切に活用することは、安心して治療を続ける上で不可欠です。まず、最も基本的で重要な制度が、前述の「高額療養費制度」です。これは、所得区分に応じて定められた1ヶ月の医療費自己負担限度額を超えた分が、後から払い戻される(または窓口での支払いが限度額までになる)制度です。関節リウマチの治療、特に高価な薬剤を使用する場合には、ほとんどの方がこの制度の対象となります。ご自身の所得区分における自己負担限度額がいくらになるのかを、加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に確認しておくことが第一歩です。次に、リウマチの症状が進行し、日常生活に一定以上の支障が出ている場合には、「身体障害者手帳」の取得を検討することもできます。関節リウマチの場合、関節の機能障害の程度に応じて等級が認定されます。手帳を取得すると、「心身障害者医療費助成制度(マル障)」などの対象となり、自治体によっては医療費の自己負担分が全額または一部助成されることがあります。助成の内容は自治体によって大きく異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当課に問い合わせてみましょう。さらに、病気が原因で働くことが困難になった場合には、「障害年金」という選択肢もあります。これは、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。関節リウマチも対象疾患の一つであり、障害の程度に応じて年金が支給されます。申請手続きは複雑ですが、年金事務所や社会保険労務士に相談することができます。これらの制度以外にも、確定申告の際に1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に税金が還付される「医療費控除」も忘れてはなりません。経済的な不安は、治療の妨げになり得ます。利用できる制度は全て活用するという意識を持ち、主治医や病院のソーシャルワーカー、自治体の窓口などに積極的に相談することが大切です。
リウマチ治療と医療費助成、知っておきたい公的制度