ある日突然、激しい吐き気と腹痛に襲われ、トイレから離れられなくなるほどのひどい下痢が始まる。多くの人が一度は経験したことのある、この辛い症状の正体は、多くの場合「感染性胃腸炎」です。ウイルスや細菌が消化管に感染することで引き起こされるこの病気は、特に冬場にはノロウイルス、夏場には細菌性のものが猛威を振るいます。いざ、このような症状に見舞われた時、あまりの辛さに「病院へ行きたいけれど、一体、何科を受診すれば良いのだろう」と迷ってしまう方は少なくないでしょう。風邪のように内科なのか、お腹の専門である胃腸科なのか、あるいは他の科なのか。このような急性の胃腸炎で、まず最初に受診を検討すべき診療科は「内科」あるいは「消化器内科(胃腸科)」です。どちらの科でも、胃腸炎の基本的な診断と治療は可能です。近所にかかりつけの内科があれば、まずはそこへ相談するのが最も手軽で迅速な選択肢と言えるでしょう。内科医は、問診を通じて症状の始まった時期や食事の内容、周囲での流行状況などを聞き取り、胃腸炎の診断を下します。そして、脱水症状を防ぐための水分補給の指導や、症状を和らげるための整腸剤、吐き気止め、解熱剤などを処方してくれます。一方で、「消化器内科」や「胃腸科」は、その名の通り食道・胃・腸といった消化器全般を専門とするエキスパートです。より専門的な視点から診療を行ってくれるため、症状が非常に重い場合や、下痢に血液が混じる(血便)など、通常の胃腸炎とは異なる危険なサインが見られる場合には、より適切な対応が期待できます。また、胃腸炎の症状が長引く場合や、何度も繰り返すような場合には、背景にクローン病や潰瘍性大腸炎といった他の病気が隠れている可能性も考えられるため、専門的な検査ができる消化器内科の受診が推奨されます。結論として、急な胃腸炎であれば、まずはアクセスしやすい内科で十分対応可能です。しかし、症状に不安な点がある場合や、より専門的な診療を希望する場合には、消化器内科(胃腸科)を選ぶと、さらに安心できるでしょう。
突然の嘔吐と下痢、胃腸炎は何科へ行くべき?