便秘は非常にありふれた症状であるため、多くの人が「いつものこと」と軽視しがちです。しかし、その背景には、放置すると命に関わるような、重大な病気が隠れている可能性があります。いつもの便秘とは明らかに違う、「危険なサイン」を見逃さないことは、自分自身の健康を守る上で極めて重要です。以下に挙げるような症状が便秘と共に見られた場合は、自己判断で様子を見るのではなく、直ちに医療機関を受診してください。最も緊急性の高い危険なサインは、「激しい腹痛」と「嘔吐」を伴う場合です。便もガスも全く出ず、お腹がパンパンに張ってきて、耐えられないほどの激痛や吐き気が続く。このような症状は、腸がねじれたり、何らかの原因で塞がってしまったりする「腸閉塞(イレウス)」を強く疑います。腸閉塞は、腸の組織が壊死してしまう危険があり、緊急手術が必要となるケースも少なくない、一刻を争う状態です。次に、注意すべきは「便に血が混じる(血便)」ことです。排便後に便器が真っ赤に染まるような鮮やかな出血や、イチゴジャムのような粘液と血液が混じった便、あるいは黒いタール状の便が出る場合は、消化管のどこかで出血が起きています。その原因として、「大腸がん」やポリープ、大腸憩室からの出血、あるいは「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)」といった病気が考えられます。特に、黒い便は胃や十二指腸など、上部消化管からの出血を示唆しており、こちらも緊急の検査が必要です。また、「原因不明の急激な体重減少」も、見過ごしてはならない重要なサインです。便秘と共に、ここ数ヶ月で食事制限もしていないのに体重が著しく減ってきたという場合、大腸がんなどの悪性疾患が体の栄養を奪っている可能性があります。さらに、「便が急に鉛筆のように細くなった」という変化も、大腸がんなどによって腸の内腔が狭くなっている可能性を示すサインです。これらの危険な症状がある場合に受診すべきは、「救急外来」あるいは「消化器内科、消化器外科」です。特に、激しい腹痛や嘔吐がある場合は、ためらわずに救急車の要請を検討してください。「いつもの便秘とは何かが違う」という、あなた自身の直感は非常に大切です。その体の警告信号を無視せず、迅速に行動することが、最悪の事態を防ぐための鍵となります。
これは危険!ただの便秘ではない警告サイン