慢性的な片頭痛に悩んでいても、いきなり脳神経内科のような専門科を受診することに、少し敷居の高さを感じる方もいるかもしれません。そのような時、まずは普段から体調を相談している、かかりつけの内科医に話を聞いてもらうという選択は、決して間違いではありません。かかりつけ医は、あなたの全身の健康状態や既往歴を把握しており、地域医療の窓口として重要な役割を担っています。内科を受診すれば、まず丁寧な問診と診察が行われます。そして、頭痛の原因として考えられる他の全身性の病気、例えばコントロールされていない高血圧や、副鼻腔炎、あるいは何らかの感染症など、内科的な視点からのスクリーニングを行ってくれます。これは、重大な病気が隠れていないかを確認する上で非常に大切なプロセスです。診察の結果、緊張型頭痛や軽度の片頭痛と判断されれば、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンといった、市販もされている一般的な鎮痛薬が処方されることが多いでしょう。これらの薬で症状が十分にコントロールでき、日常生活に大きな支障がないレベルであれば、かかりつけ医の元で治療を継続することも可能です。しかし、ここで注意すべき点があります。内科での治療には限界があることも理解しておく必要があります。市販薬や一般的な鎮痛薬では全く効果がない、あるいは薬の服用回数が増えてしまっているような中等度から重度の片頭痛の場合、より専門的な治療が必要です。片頭痛のメカニズムに特化して作用する「トリプタン製剤」や、近年登場した「CGRP関連抗体薬」といった新しい治療薬は、原則として頭痛診療に精通した専門医でなければ処方されません。また、発作の頻度自体を減らす「予防療法」というアプローチも、脳神経内科医ならではの専門的な視点です。もし、かかりつけの内科で処方された薬を飲んでも痛みが改善しない、あるいは頭痛の頻度が多くて生活の質が著しく低下していると感じる場合は、決して我慢せず、脳神経内科などの専門医への紹介状を書いてもらうようにお願いしましょう。かかりつけ医は、専門医療への橋渡し役も担っています。まずは身近な医師に相談し、そこから適切な専門家へと繋げてもらうことが、賢い医療機関のかかり方と言えるでしょう。
かかりつけ内科で片頭痛を相談する際の注意点