十分な睡眠時間を確保しているはずなのに、朝起きると体がだるく、熟睡した感じがしない。夜中に何度も目が覚めてしまい、そのたびにトイレに行きたくなる。このような悩みも、実は睡眠時無呼吸症候群が原因で起こっている可能性があります。一般的に、無呼吸症候群の症状として知られるのは大きないびきや日中の眠気ですが、睡眠の質そのものを低下させる、夜間特有の様々な症状も存在します。夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」は、その代表例です。眠っている間に気道が塞がって呼吸が止まると、体内の酸素濃度が低下します。すると、脳は生命の危機を察知し、体を覚醒させて呼吸を再開させようとします。この時、本人は息苦しさや窒息感を感じて、ハッと目を覚ますことがあります。この一連の流れが、一晩のうちに何十回、多い人では百回以上も繰り返されるのです。本人は目が覚めたことを覚えていない場合も多いですが、脳は断続的に覚醒させられているため、深い眠りに入ることができず、睡眠の質は著しく低下します。また、「夜間頻尿」も見過ごせない症状です。通常、睡眠中は尿の生成を抑えるホルモンが分泌されますが、無呼吸による低酸素状態はこのホルモンの分泌を妨げます。さらに、呼吸を再開しようと胸に強い圧力がかかることで、心臓から利尿作用のあるホルモンが分泌されやすくなります。これらの影響が重なり、夜中に何度も尿意を催してトイレに起きることになるのです。その他にも、低酸素状態の苦しさから大量の「寝汗」をかくこともあります。これらの夜間の症状は、単に安眠を妨げるだけでなく、体が低酸素という過酷な状況に置かれていることを示す重要なサインです。もし、原因不明の中途覚醒や夜間頻尿に悩んでいるなら、一度、睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑ってみる必要があるかもしれません。
夜中に何度も目が覚める意外な理由