一度でも内麦粒腫のつらい痛みを経験したなら、二度とあんな思いはしたくないと誰もが思うはずです。内麦粒腫の治療は眼科で行えますが、最も大切なのは、そもそも発症しないように、あるいは再発しないように、日頃から予防を心がけることです。その原因が「免疫力の低下」と「目の不衛生」にあることを踏まえれば、その予防策は自ずと見えてきます。まず取り組むべきは、体の内側からのケア、すなわち「免疫力の維持」です。私たちの体を細菌感染から守る免疫システムを正常に働かせるためには、バランスの取れた食事が欠かせません。特定の食品だけを食べるのではなく、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物、良質なたんぱく質を含む肉や魚、豆類などをまんべんなく摂取しましょう。そして、免疫力を低下させる最大の敵である「睡眠不足」と「ストレス」を避けることも極めて重要です。毎日決まった時間に就寝・起床する習慣をつけ、質の良い睡眠を確保してください。仕事やプライベートでストレスを感じたら、趣味に没頭したり、軽い運動で汗を流したりと、自分なりの方法で上手に発散させることが大切です。次に、体の外側からのケア、つまり「目の周りを清潔に保つ」ことです。基本中の基本は、汚れた手で絶対に目をこすらない、触らないという習慣を徹底することです。外出から帰った後や、目に触れる前には、必ず石鹸で手を洗いましょう。女性の方は、アイメイクのクレンジングに特に注意が必要です。目のキワまで引いたアイラインや、ウォータープルーフのマスカラなどは、専用のリムーバーを使って丁寧に、しかし優しく落としきってください。ゴシゴシこすると、かえって汚れをマイボーム腺に押し込んでしまう可能性があるので注意が必要です。コンタクトレンズを使用している方は、レンズの洗浄・消毒を正しく行い、装用時間を厳守することが鉄則です。さらに、一歩進んだ予防策として、前述の「リッドハイジーン」を日常に取り入れることをお勧めします。毎日お風呂の時間に蒸しタオルで数分間まぶたを温めるだけでも、マイボーム腺の油が溶け出し、詰まりにくくなります。これらの地道な予防策を毎日の習慣として続けることが、内麦粒腫の根本的な原因を断ち切り、再発の連鎖を断ち切るための最も確実な道筋となるのです。
繰り返さないために、内麦粒腫の徹底予防策