整形外科や脳神経内科で検査をしても、特に明らかな異常が見つからない。それなのに、指先のジンジンとしたしびれや冷たい感覚が消えない。このような、原因のはっきりしないしびれに悩んでいる場合、その背景に「ストレス」や「自律神経の乱れ」が関わっている可能性があります。私たちの体は、心と密接に繋がっています。仕事や人間関係などで強い精神的なストレスを受け続けたり、過労や不規則な生活で心身が疲弊したりすると、体の様々な機能を自動的にコントロールしている自律神経のバランスが崩れてしまいます。自律神経には、体を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の二つがあり、これらがうまく切り替わることで健康が保たれています。しかし、ストレスによって交感神経が過剰に優位な状態が続くと、血管が収縮して血行が悪くなります。特に、手足の指先のような末端部分は血行不良の影響を受けやすく、それがしびれや冷えといった症状として現れることがあるのです。また、自律神経の乱れは、不安や緊張感を高め、痛みや不快な感覚に対して過敏にさせてしまうこともあります。そのため、実際にはごくわずかな刺激や感覚の変化を、脳が「しびれ」として強く認識してしまうというケースも考えられます。このような心因性の症状が疑われる場合、相談先として「心療内科」や「精神科」が選択肢となります。これらの診療科では、薬物療法だけでなく、カウンセリングを通じてストレスの原因を探ったり、リラクゼーション法などの対処スキルを身につけたりすることで、心と体の両面から症状の改善を目指します。もちろん、まずは整形外科などで器質的な疾患がないことをきちんと確認することが大前提です。その上で、もしあなたが長引く原因不明のしびれに加え、不眠、動悸、気分の落ち込み、食欲不振といった他の不調も感じているのであれば、一度、心の専門家に相談してみることで、解決への新たな道が開けるかもしれません。