関節リウマチの治療に革命をもたらした「生物学的製剤」。関節の破壊を強力に抑え、多くの患者さんを痛みから解放してくれるこの画期的な薬は、まさに希望の光と言えるでしょう。しかし、その高い効果と引き換えに、治療費が非常に高額であるという現実があります。3割負担の医療保険を利用しても、月々の薬剤費だけで数万円の負担となり、治療の継続をためらってしまう方も少なくありません。しかし、諦めるのはまだ早いです。日本の公的な医療保険制度には、こうした高額な医療費に対する患者の負担を軽減するための、いくつかの強力なセーフティーネットが用意されています。これらの制度を正しく理解し、活用することが、安心して最善の治療を続けるための鍵となります。その代表格が「高額療養費制度」です。これは、同一月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた金額が後から払い戻される制度です。例えば、一般的な所得の方(標準報酬月額28万~50万円)の場合、自己負担の上限額は月におよそ8万円強に設定されています。生物学的製剤の治療費は、3割負担でもこの上限額を超えることが多いため、この制度を利用することで、実際の負担を大幅に抑えることができます。さらに便利なのが「限度額適用認定証」です。事前にこの認定証を健康保険組合や市町村の窓口で申請し、医療機関の会計時に提示することで、窓口での支払いが初めから自己負担限度額までとなります。後から払い戻しの申請をする手間が省け、一時的な高額な立て替え払いの必要がなくなるため、ぜひ活用したい制度です。また、これに加えて、勤務先の健康保険組合によっては、独自の「付加給付制度」を設けている場合があります。これは、高額療養費制度で定められた自己負担限度額よりも、さらに低い上限額(例えば2万5000円など)を設定し、それを超えた分を給付してくれるという、非常に手厚い制度です。ご自身が加入している健康保険の給付内容を一度確認してみることをお勧めします。これらの制度を組み合わせることで、高額な生物学的製剤の治療も、月々2〜3万円程度の負担で受けられるケースが多くなります。経済的な不安を抱え込まず、まずは病院の相談窓口やソーシャルワーカー、加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。
高額な生物学的製剤、費用負担を軽くする方法