一度治ったはずの内麦粒腫が、また同じような場所にできてしまう。そんな厄介な経験をしたことがある方もいるでしょう。内麦粒腫が繰り返される背景には、単なる不運ではなく、日々の生活習慣に潜む根本的な原因が隠れていることが少なくありません。その最大の原因の一つが「免疫力の低下」です。私たちの体は、免疫システムによって常に細菌やウイルスなどの外敵から守られています。しかし、過労やストレス、睡眠不足、栄養の偏りなどが続くと、この免疫力が低下してしまいます。原因菌である黄色ブドウ球菌は、健康で免疫力が正常に働いている状態では、体内に侵入しても簡単には増殖できません。ところが、体が疲れ切っていると、この防御システムが弱まり、普段なら抑え込めるはずの細菌の活動を許してしまうのです。仕事が忙しくて連日深夜まで残業している、人間関係の悩みでよく眠れない、ダイエットで極端な食事制限をしている。そんな生活を送っていると、体は細菌に対する抵抗力を失い、内麦粒腫を発症しやすい土壌を作り出してしまいます。もう一つの重要な原因が「不衛生な環境」です。特に、無意識に目をこする癖がある人は要注意です。私たちの手には、目に見えない無数の細菌が付着しています。その汚れた手でまぶたに触れることは、自ら細菌をマイボーム腺の入り口に運んでいるようなものです。また、女性の場合はアイメイクも大きな要因となり得ます。アイラインやマスカラ、アイシャドウなどが、マイボーム腺の出口を塞いでしまうことがあります。特に、メイクをしっかりと落としきれていない「落とし残り」は、皮脂や汚れと混じり合って腺を詰まらせ、細菌繁殖の温床となります。さらに、コンタクトレンズの不適切な使用もリスクを高めます。洗浄が不十分なレンズを装用したり、装用時間を守らなかったりすると、目の衛生状態が悪化し、感染症を引き起こしやすくなるのです。内麦粒腫の再発を防ぐためには、目薬で炎症を抑えるだけでなく、こうした生活習慣全体を見直し、免疫力を高め、目の周りを常に清潔に保つという、根本的な原因へのアプローチが不可欠なのです。