睡眠時無呼吸症候群は、大人の病気というイメージが強いかもしれませんが、実は子供にも起こりうる病気です。そして、子供の無呼吸症候群は、大人の症状とは異なる、見過ごされやすいサインとなって現れることが多く、保護者の注意深い観察が早期発見の鍵となります。子供の無呼吸症候群の最も一般的な原因は、アデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)や口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)の肥大です。これらの組織が物理的に気道を狭くすることで、呼吸が妨げられるのです。大人のように、肥満が直接的な原因となるケースは比較的少ないのが特徴です。では、子供の無呼吸症候群にはどのような症状が見られるのでしょうか。まず、大人と同様に「大きないびき」や「口呼吸」は重要なサインです。常に口をぽかんと開けて寝ている、あるいは口で呼吸している場合は注意が必要です。また、睡眠中に胸やお腹をペコペコとへこませる「陥没呼吸」が見られることもあります。これは、塞がった気道から一生懸命空気を吸い込もうとして、胸に強い陰圧がかかっている証拠です。そして、子供の無呼吸症候群の症状は、日中の行動にも大きく影響します。夜間に質の良い睡眠がとれないため、日中に「落ち着きがない」「集中力がない」「イライラしやすい」といった、一見すると多動性障害(ADHD)と似たような行動が見られることがあります。実際に、ADHDと診断されていた子供が、無呼吸症候群の治療をしたら症状が劇的に改善したというケースも報告されています。また、脳が十分に休息できていないため、「学業成績の低下」や「記憶力の悪化」に繋がることもあります。その他にも、夜間の低酸素状態が成長ホルモンの分泌を妨げ、「身長の伸びが悪い」といった成長への影響や、睡眠中の覚醒が原因で「おねしょ」がなかなか治らないといったことも、無呼吸症候群の症状として考えられます。もし、あなたのお子様にこれらのサインが複数当てはまる場合は、一度、「小児科」や「耳鼻咽喉科」に相談することをお勧めします。