指先のしびれで病院を受診する際、正しい診断を下してもらうために最も重要なのは、患者自身が自分の症状をいかに正確に、そして具体的に医師に伝えられるかという点です。医師はあなたの言葉を手がかりに、原因となっている病気を推測し、必要な検査を組み立てていきます。限られた診察時間の中で的確な情報を伝えるために、受診前に少しだけ準備をしておきましょう。まず、メモなどに整理しておくと良い項目をいくつか挙げます。第一に、「いつから、どのように始まったか」です。ある日突然始まったのか、数ヶ月前から徐々に始まったのか。きっかけとして思い当たることはないか(怪我、手の使いすぎ、など)。時間的な経過は、緊急性の判断や病気の特定に非常に役立ちます。第二に、「どの指が、どの部分がしびれるか」です。親指側なのか、小指側なのか。指先だけなのか、手のひら全体なのか。片手だけなのか、両手なのか。足にも症状はあるか。この分布は、どの神経が障害されているかを特定する上で極めて重要な情報です。第三に、「どのようなしびれか」を、できるだけ自分の言葉で表現してみてください。「ジンジンする」「ピリピリ、チクチクする」「電気が走る感じ」「感覚が鈍い、厚い皮を一枚かぶったよう」など、具体的な表現は診断の大きなヒントになります。第四に、「どのような時に症状が変化するか」です。特定の動作(首を動かす、肘を曲げるなど)で悪化するか。朝方や夜間にひどくなるか。手を振ったり温めたりすると楽になるか。これらの情報は、手根管症候群や頚椎症などを鑑別する上で参考になります。最後に、しびれ以外の「他の症状」の有無も必ず伝えましょう。痛み、力の入りにくさ(筋力低下)、首や肩のこり、頭痛、めまい、ろれつの回りにくさなど、一見関係なさそうに思えることでも、診断を絞り込むための重要なピースとなり得ます。これらの情報を整理して伝えることで、医師はよりスムーズに、そして正確にあなたの状態を把握することができます。それは、的確な診断と最適な治療への最短ルートを切り拓く、あなた自身にできる最善の協力なのです。
病院でどう伝える?しびれの症状を伝えるコツ