お腹が張って苦しい、何日もお通じがなく、出てもスッキリしない。便秘は性別や年齢を問わず多くの人が経験する、非常に身近な症状です。しかし、「たかが便秘」と軽視して市販薬でごまかしたり、恥ずかしさから医療機関の受診をためらったりしている方は少なくないのではないでしょうか。ですが、慢性的な便秘は生活の質を著しく低下させるだけでなく、時には重大な病気が隠れているサインである可能性もあります。では、いざ病院へ行こうと決心した時、私たちは一体、何科の扉を叩けば良いのでしょうか。このような、一般的な便秘の悩みで、まず最初に受診を検討すべき診療科は「内科」あるいは「消化器内科(胃腸科)」です。どちらの科でも、便秘に対する基本的な診察と治療を受けることが可能です。特に、かかりつけの内科医がいる場合は、そこが最も身近な相談窓口となるでしょう。内科医は、全身の健康状態を幅広く診る専門家であり、便秘という症状の裏に、例えば糖尿病や甲状腺機能低下症といった内科的な病気が隠れていないかという視点からも診察してくれます。また、高血圧や他の病気で服用している薬が便秘の原因になっていないかなど、総合的な観点から原因を探ってくれるのも、かかりつけ内科の強みです。一方で、「消化器内科」や「胃腸科」は、その名の通り、食道、胃、腸といった消化器全般を専門とするエキスパートです。便秘の診断と治療においては、より専門性が高い診療科と言えます。特に、市販薬を長年使っても改善しない慢性的な便秘や、腹痛、腹部膨満感といった他の症状を伴う場合、あるいは大腸がんなどの病気が心配な場合には、最初から消化器内科を受診することで、よりスムーズに専門的な検査や治療へと進むことができます。消化器内科では、必要に応じて大腸内視鏡検査などの精密検査を行い、腸に器質的な異常がないかを直接確認することも可能です。結論として、急な便秘や、まずは気軽に相談したいという場合は、お近くの「内科」へ。長引く便秘や、専門的な検査も視野に入れて根本的な原因を調べたいという場合は、「消化器内科(胃腸科)」を選ぶのが良いでしょう。大切なのは、一人で悩まず専門家に相談すること。それが、つらい便秘の悩みから解放されるための、最も確実な第一歩なのです。