脳神経内科を受診し、MRIなどの精密検査を受けても「特に異常はありません」と言われた。しかし、慢性的な頭痛は一向に改善しない。そのような、はっきりとした診断がつかずに悩んでいる方は少なくありません。片頭痛や緊張型頭痛といった典型的なパターンに当てはまらない、あるいは複数のタイプの頭痛が混在しているなど、診断が難しいケースは確かに存在します。また、薬を飲んでも効果が薄く、治療が難航することもあります。このように、既存の診療科では解決が難しい頑固な頭痛に悩む人々の受け皿となっているのが、「頭痛外来」や「ペインクリニック」といった、より専門性の高い診療の場です。まず「頭痛外来」は、その名の通り頭痛の診療を専門に掲げている外来です。脳神経内科医が中心となって運営していることが多いですが、病院によっては、脳神経外科医、麻酔科医、精神科・心療内科医、理学療法士、歯科口腔外科医など、様々な分野の専門家がチームを組んで集学的なアプローチを行うこともあります。これにより、例えば首や肩の筋肉の問題、顎関節症、精神的なストレスなど、脳以外の多角的な視点から頭痛の原因を探ることが可能になります。一方、「ペインクリニック」は、主に麻酔科医が「痛み」そのものの治療を専門に行う診療科です。薬物療法はもちろんのこと、その大きな特徴は「神経ブロック注射」という専門的な手技にあります。これは、痛みの信号を伝えている神経の近くに局所麻酔薬などを注射することで、痛みの伝達を遮断し、興奮した神経を鎮める治療法です。特に、後頭部を走行する神経が原因で起こる後頭神経痛や、首の問題が関連する頭痛などに対して高い効果を発揮することがあります。また、頑固な片頭痛や群発頭痛の痛みを和らげる目的で用いられることもあります。どこに行っても原因が分からず、治療法も見つからないと諦めかけているのであれば、一度このような頭痛診療のスペシャリストが集まる場所の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。これまでの治療とは異なるアプローチが、長年の苦しみからあなたを解放する新たな光となるかもしれません。
診断がつかない頭痛は頭痛外来やペインクリニックへ