42歳の春、朝起きると両手の指がこわばり、ペットボトルの蓋が開けられないほどの痛みを感じました。最初は単なる疲れだと思っていましたが、症状は足首にも広がり、歩くのも辛くなりました。近所の整形外科から紹介された専門病院で下された診断は「関節リウマチ」。テレビドラマでしか知らなかった病名に、頭が真っ白になりました。医師からは、病気の進行を抑えるために、すぐに治療を始める必要があると説明されました。まず処方されたのは、メトトレキサートという抗リウマチ薬でした。この段階での治療費は、3割負担で診察と検査、薬代を合わせて月1万円程度。これなら何とかなる、と少し安堵したのを覚えています。しかし、私のリウマチは勢いが強く、半年経っても痛みや腫れは十分にコントロールできませんでした。そこで主治医から提案されたのが、「生物学的製剤」の導入でした。関節破壊を強力に防ぐ画期的な薬だと説明されましたが、同時に、治療費が非常に高額になることも告げられました。提示された自己負担額は、月に4万円以上。パートタイマーとして働く私にとって、それはあまりにも重い負担でした。治療の効果への期待と、経済的な不安との間で、私の心は大きく揺れ動きました。家族にも相談できず、一人で悩んでいた時、病院の医療相談室のソーシャルワーカーさんの存在を知りました。藁にもすがる思いで相談に訪れると、彼女は私の話を親身に聞いてくれた上で、「高額療養費制度」という制度について、丁寧に説明してくれました。私の所得であれば、月の自己負担額には上限があり、それを超えた分は払い戻されること。さらに、「限度額適用認定証」を事前に取得すれば、窓口での支払いをその上限額までに抑えられること。目から鱗が落ちる思いでした。早速、夫の会社の健康保険組合に申請し、認定証を手にしました。実際に生物学的製剤の治療を始めると、その効果は劇的でした。あれほど辛かった朝のこわばりが消え、痛みも大幅に軽減しました。そして、会計窓口での支払いは、高額療養費制度のおかげで、心配していた額よりもずっと少ない金額で済みました。もしあの時、一人で抱え込まずに相談していなければ、私は経済的な理由で最善の治療を諦めていたかもしれません。病気と向き合うには、正しい情報を知り、利用できる制度を賢く使うことが不可欠なのだと、身をもって学んだ経験でした。
私のリウマチ治療、費用と向き合ったリアルな体験