医療専門職による監修記事やインタビュー

2025年8月
  • 日中のだるさや頭痛も症状の一つ

    医療

    睡眠時無呼吸症候群の影響は、夜間の睡眠中だけにとどまりません。むしろ、日中の生活の質を大きく損なう様々な症状となって現れることこそが、この病気の深刻な側面と言えるでしょう。最もよく知られている日中の症状は強烈な眠気ですが、それ以外にも、心身に多岐にわたる不調を引き起こします。その一つが、「起床時の頭痛」です。朝、目が覚めた時になぜか頭が重かったり、鈍い痛みが続いたりする経験はありませんか。これは、睡眠中に呼吸が止まることで、体内の二酸化炭素がうまく排出されずに溜まってしまい、脳の血管が拡張することが原因で起こると考えられています。通常、数時間で痛みは和らぎますが、毎朝のように繰り返される頭痛は、質の良い睡眠がとれていない明確な証拠です。また、「慢性的な倦怠感」や「疲労感」も多くの患者さんが訴える症状です。夜間に体が低酸素状態と覚醒を繰り返すことは、本人に自覚がなくても、体にとってはフルマラソンを走っているかのような大きな負担となります。そのため、どれだけ長く寝ても疲れが取れず、日中はずっと体がだるく、気力が湧かないという状態に陥ってしまいます。さらに、脳への影響も深刻です。慢性的な酸素不足は、脳の働きを低下させ、「集中力の低下」や「記憶力の悪化」を招きます。仕事や勉強の効率が落ちたり、物忘れが多くなったりするだけでなく、新しいことを覚えるのが困難になることもあります。こうしたパフォーマンスの低下は、本人の自信を喪失させ、精神的なストレスにも繋がります。実際、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの中には、原因不明の「気分の落ち込み」や「イライラ」といった、うつ病に似た精神症状を呈する方も少なくありません。日中の様々な不調が、実は夜間の無呼吸に起因している可能性を理解し、その根本原因に対処することが、健やかな毎日を取り戻すための鍵となるのです。

  • 長引く咳や息苦しさ、喘息は何科へ?

    医療

    季節の変わり目や夜中、明け方になると、咳が止まらなくなったり、息をすると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がしたりする。少し動いただけでも息が切れてしまう。このような症状に心当たりがある場合、それは単なる風邪ではなく「気管支喘息」のサインかもしれません。いざ、このつらい症状を何とかしたいと病院へ行こうと思っても、多くの人が「一体、何科を受診すれば良いのだろう」という疑問に直面します。喘息の診療を専門とする診療科は、主に「呼吸器内科」と「アレルギー科」です。どちらの科でも喘息の診断と治療は可能ですが、それぞれの科に少しずつ特徴があります。まず「呼吸器内科」は、その名の通り、気管や気管支、肺といった呼吸器全般の病気を専門とするエキスパートです。喘息はもちろんのこと、咳や息切れの原因となる他の病気、例えばCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎、肺がんなどとの鑑別診断に長けています。特に、喫煙歴のある方や、中高年になってから初めて喘息のような症状が出てきた方は、他の呼吸器疾患の可能性も視野に入れて総合的に診てくれる呼吸器内科を受診するのがより安心です。一方で「アレルギー科」は、アレルギー反応によって引き起こされる様々な病気を専門とします。喘息の多くは、ホコリやダニ、花粉といったアレルゲンが引き金となって気道の炎症が起こるアレルギー性の疾患です。アレルギー科では、血液検査や皮膚テストなどでアレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定し、そのアレルゲンを避けるための生活指導も含めた、より根本的なアプローチを得意としています。喘息以外にもアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などを合併している方は、アレルギー科でトータルに診てもらうのが良いでしょう。結論として、どちらの科を受診しても専門的な治療は受けられます。まずは通いやすい方、あるいはかかりつけ医からの紹介がある方を選ぶと良いでしょう。大切なのは、自己判断で放置せず、専門医の診断を仰ぐことです。