医療専門職による監修記事やインタビュー

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  • 関節リウマチの治療費、月々いくらかかる?

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    「関節リウマチ」と診断された時、病気そのものへの不安と共に、多くの患者さんの頭をよぎるのが「治療に一体いくらかかるのだろうか」という経済的な心配です。関節リウマチは、一度発症すると長く付き合っていくことになる慢性的な病気であり、その治療費は家計に少なからぬ影響を与えます。治療費の全体像をあらかじめ把握しておくことは、安心して治療に専念し、将来の生活設計を立てる上で非常に重要です。関節リウマチの治療費は、使用する薬剤の種類や病気の進行度、通院頻度、そして利用できる公的な医療費助成制度によって大きく変動しますが、一般的な目安を知っておくことは可能です。まず、治療の基本となるのが、メトトレキサートに代表される「抗リウマチ薬(DMARDs)」です。これらの従来型の薬剤による治療の場合、医療費の自己負担割合が3割の患者さんで、診察料や検査料、薬代を合わせて、月々の負担額はおおよそ5,000円から15,000円程度になることが多いでしょう。これは、定期的な血液検査などで副作用をチェックする必要があるため、診察と検査がセットになることが一般的だからです。しかし、近年、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」といった、より効果の高い新しいタイプの薬剤が登場しました。これらの薬剤は、関節破壊を強力に抑制し、多くの患者さんの生活の質を劇的に改善する一方で、非常に高価であるという側面も持っています。これらの薬剤を使用する場合、医療費の自己負担額は月々数万円に跳ね上がります。3割負担の場合、薬剤の種類にもよりますが、月に30,000円から50,000円程度の自己負担が必要になることも珍しくありません。このように、選択する治療法によって費用は大きく異なります。ただし、日本の医療制度には、高額な医療費の負担を軽減するための様々な公的支援制度が用意されています。これらの制度を賢く活用することで、実際の自己負担額を大幅に抑えることが可能です。まずは主治医とよく相談し、自分の病状に合った治療法と、それに伴う費用の目安、そして利用できる公的制度について、詳しく説明を受けることが大切です。

  • 子供の内麦粒腫、親が知るべき原因と対処法

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    子供が「目が痛い」「ゴロゴロする」と訴えてきた時、それは内麦粒腫のサインかもしれません。子供は大人に比べて自分の症状をうまく説明できないため、親がその変化に気づき、適切に対応してあげることが非常に重要です。子供の内麦粒腫の原因も、大人と同様に黄色ブドウ球菌などの細菌感染ですが、そこには子供特有の行動や体の特徴が大きく関わっています。まず、子供は衛生観念がまだ十分に発達していません。外で元気に遊んで泥だらけになった手で、平気で目をこすってしまいます。この無意識の行動が、手に付着した細菌をまぶたのマイボーム腺に直接運び込む最大の原因となります。また、アレルギー性結膜炎などを持っている子供は、目のかゆみから頻繁に目をこするため、さらにリスクが高まります。加えて、子供の免疫システムはまだ発達途上にあり、大人に比べて感染症に対する抵抗力が弱い傾向があります。風邪をひきやすかったり、疲れやすかったりするのと同じように、些細なきっかけで細菌感染を起こしやすいのです。では、親はどのように対処すれば良いのでしょうか。まず、子供が目の不調を訴えたら、無理に自分で見ようとしたり、まぶたを触ったりせず、できるだけ早く眼科を受診させることが鉄則です。特に内麦粒腫はまぶたの裏側にできるため、家庭で正確な状態を把握するのは困難です。眼科では、子供にも安全な抗生物質の点眼薬や眼軟膏が処方されます。親は、医師の指示通りに、嫌がる子供に根気よく点眼・塗布してあげなければなりません。自宅でのケアとしては、目をこすらないように優しく言い聞かせることが大切です。どうしてもこすってしまう場合は、一時的に眼帯を使用するのも一つの方法ですが、視力の発達に影響を与える可能性もあるため、必ず医師に相談してからにしましょう。そして、最も重要なのが予防です。外から帰ったら必ず石鹸で手を洗うという基本的な習慣を徹底させることが、感染予防の第一歩です。日頃から子供の様子をよく観察し、目の充血や頻繁に目をこするなどのサインを見逃さないこと、そして異常に気づいたら速やかに専門医に相談することが、子供の目を守るための親の務めと言えるでしょう。

  • リウマチ治療と医療費助成、知っておきたい公的制度

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    関節リウマチは、長期にわたる治療が必要となるため、医療費の負担も継続的になります。特に、生物学的製剤などの高価な薬剤を使用する場合、その負担は決して軽いものではありません。しかし、日本の医療制度には、こうした患者さんの経済的負担を軽減するための様々な公的支援制度が設けられています。これらの制度を正しく知り、適切に活用することは、安心して治療を続ける上で不可欠です。まず、最も基本的で重要な制度が、前述の「高額療養費制度」です。これは、所得区分に応じて定められた1ヶ月の医療費自己負担限度額を超えた分が、後から払い戻される(または窓口での支払いが限度額までになる)制度です。関節リウマチの治療、特に高価な薬剤を使用する場合には、ほとんどの方がこの制度の対象となります。ご自身の所得区分における自己負担限度額がいくらになるのかを、加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に確認しておくことが第一歩です。次に、リウマチの症状が進行し、日常生活に一定以上の支障が出ている場合には、「身体障害者手帳」の取得を検討することもできます。関節リウマチの場合、関節の機能障害の程度に応じて等級が認定されます。手帳を取得すると、「心身障害者医療費助成制度(マル障)」などの対象となり、自治体によっては医療費の自己負担分が全額または一部助成されることがあります。助成の内容は自治体によって大きく異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当課に問い合わせてみましょう。さらに、病気が原因で働くことが困難になった場合には、「障害年金」という選択肢もあります。これは、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。関節リウマチも対象疾患の一つであり、障害の程度に応じて年金が支給されます。申請手続きは複雑ですが、年金事務所や社会保険労務士に相談することができます。これらの制度以外にも、確定申告の際に1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に税金が還付される「医療費控除」も忘れてはなりません。経済的な不安は、治療の妨げになり得ます。利用できる制度は全て活用するという意識を持ち、主治医や病院のソーシャルワーカー、自治体の窓口などに積極的に相談することが大切です。