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夜中に何度も目が覚める意外な理由
十分な睡眠時間を確保しているはずなのに、朝起きると体がだるく、熟睡した感じがしない。夜中に何度も目が覚めてしまい、そのたびにトイレに行きたくなる。このような悩みも、実は睡眠時無呼吸症候群が原因で起こっている可能性があります。一般的に、無呼吸症候群の症状として知られるのは大きないびきや日中の眠気ですが、睡眠の質そのものを低下させる、夜間特有の様々な症状も存在します。夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」は、その代表例です。眠っている間に気道が塞がって呼吸が止まると、体内の酸素濃度が低下します。すると、脳は生命の危機を察知し、体を覚醒させて呼吸を再開させようとします。この時、本人は息苦しさや窒息感を感じて、ハッと目を覚ますことがあります。この一連の流れが、一晩のうちに何十回、多い人では百回以上も繰り返されるのです。本人は目が覚めたことを覚えていない場合も多いですが、脳は断続的に覚醒させられているため、深い眠りに入ることができず、睡眠の質は著しく低下します。また、「夜間頻尿」も見過ごせない症状です。通常、睡眠中は尿の生成を抑えるホルモンが分泌されますが、無呼吸による低酸素状態はこのホルモンの分泌を妨げます。さらに、呼吸を再開しようと胸に強い圧力がかかることで、心臓から利尿作用のあるホルモンが分泌されやすくなります。これらの影響が重なり、夜中に何度も尿意を催してトイレに起きることになるのです。その他にも、低酸素状態の苦しさから大量の「寝汗」をかくこともあります。これらの夜間の症状は、単に安眠を妨げるだけでなく、体が低酸素という過酷な状況に置かれていることを示す重要なサインです。もし、原因不明の中途覚醒や夜間頻尿に悩んでいるなら、一度、睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑ってみる必要があるかもしれません。
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痛くて瞬きも辛い、私の内麦粒腫奮闘記
ある月曜日の朝のことでした。目覚めると、右目のまぶたの裏に、まるで小さな砂粒が入ったかのようなゴロゴロとした違和感を覚えました。寝ぼけ眼で鏡を見ても、目にゴミが入っている様子はありません。まあ、そのうち治るだろうと軽く考え、いつも通りに仕事へ向かいました。しかし、その違和感は時間と共に存在感を増していきました。午後になると、ゴロゴロ感はズキズキとした鈍い痛みに変わり、瞬きをするたびに、まぶたの奥で何かが主張しているのが分かりました。外見上はほとんど変化がなかったので、同僚に気づかれることはありませんでしたが、私自身は仕事に全く集中できませんでした。その夜、おそるおそる指でまぶたの上から触れてみると、小さなしこりのようなものが確認でき、触ると明らかに痛みが増します。これはただ事ではないかもしれない。不安な気持ちで一夜を明かすと、翌朝には痛みはさらに強くなり、まぶたも心なしか腫れぼったく感じられました。もう我慢できないと観念し、私は会社の昼休みを利用して眼科へ駆け込みました。医師は私の話を一通り聞くと、「ちょっとまぶたを裏返しますね」と言って、器具で私のまぶたをひっくり返しました。一瞬の不快感の後、医師は「ああ、これですね。内麦粒腫です」とあっさり告げました。まぶたの裏に、白い膿の点がぽつんとできていたのです。原因は、マイボーム腺という脂を出す腺に細菌が入って化膿したこと、疲れやストレスで免疫力が落ちている時にできやすいことなどを説明されました。思い返せば、確かにこの数週間、大きなプロジェクトの締め切りに追われ、睡眠時間も削っていました。原因に心当たりがありすぎました。抗生物質の点眼薬と眼軟膏を処方され、数日間はアイメイクとコンタクトレンズを控えるように指示されました。薬を使い始めると、あれほどしつこかった痛みは2日ほどで引き、1週間も経つ頃にはしこりもすっかり消えていました。この経験を通じて、体が発する小さなサインを無視してはいけないと痛感しました。そして、日々の健康管理がいかに大切かということを、まぶたの裏の小さな膿に教えられたのでした。