医療専門職による監修記事やインタビュー

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  • 足のむくみで病院へ!最初に何科へ行くべきか

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    夕方になると靴がきつくなる、靴下の跡がくっきりと残る。そんな「足のむくみ」は、多くの人が経験するありふれた症状です。しかし、その背後には、単なる疲れや生活習慣だけでなく、治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。いざ、この悩みを病院で相談しようと思っても、「一体、何科へ行けば良いのだろう?」と、受診先に迷ってしまう方は少なくありません。足のむくみという症状に対して、まず最初に受診を検討すべき診療科は、「循環器内科」あるいは「一般内科」です。その理由は、足のむくみの原因として、心臓や腎臓、肝臓といった、全身の水分バランスを司る重要な臓器の機能低下が考えられるからです。例えば、心臓のポンプ機能が弱まる心不全では、全身の血流が滞り、特に重力の影響を受けやすい足に水分が溜まりやすくなります。循環器内科は、心臓と血管の専門家であり、心電図や心臓超音波(エコー)検査などを通じて、心臓の状態を詳しく評価してくれます。また、腎臓の機能が低下して、余分な水分や塩分を体外に排出できなくなる腎不全や、肝臓の病気で血液中のたんぱく質が減少し、血管内に水分を保持できなくなることでも、むくみは生じます。これらの全身性の病気を広くスクリーニングしてくれるのが、内科の役割です。まずはかかりつけの内科医に相談し、血液検査や尿検査を受けることで、重大な内臓疾患がないかを確認することが、安心への第一歩となります。もし、診察の結果、より専門的な原因が疑われれば、そこから腎臓内科や、血管外科、あるいは婦人科といった、適切な専門診療科へスムーズに紹介してもらえます。自己判断でマッサージやサプリメントに頼る前に、まずは医療の入り口である内科を受診し、むくみの本当の原因を探ることが、根本的な解決への最も確実な近道となるのです。

  • RSウイルスに感染したある会社員の話

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    営業部に所属する佐藤さん(三十八歳)は、仕事熱心で、体力には自信があった。ある週の初め、四歳になる娘が保育園で熱を出し、小児科でRSウイルスと診断された。佐藤さんは妻に看病を任せ、「子供の風邪だろう」と、特に気に留めることもなく、連日の残業をこなしていた。異変が起きたのは、その週末のことだった。喉に違和感を覚え、体が重く感じる。月曜の朝には、熱が三十八度を超え、鼻水が止まらなくなった。それでも佐藤さんは、「ただの風邪だ。大事なプレゼンがあるから休めない」と、解熱剤を飲んで出社した。しかし、彼の体は限界に達していた。プレゼンの最中、突然、激しい咳の発作に襲われ、言葉が続けられなくなってしまったのだ。咳はゴホゴホと胸の奥から響き、粘り気の強い痰が絡んで息苦しい。同僚や上司の心配そうな視線の中、佐藤さんは会議室を後にするしかなかった。その足で呼吸器内科を受診した佐藤さんを待っていたのは、「RSウイルス感染症」という診断だった。医師からは、「子供からうつったのでしょう。大人がかかると、咳が長引いて大変ですよ。最低でも数日はしっかり休んでください」と告げられた。結局、佐藤さんはその週いっぱい仕事を休むことになった。チームに多大な迷惑をかけたという申し訳なさと、自分の体調管理の甘さに対する後悔の念に苛まれた。熱は数日で下がったが、医師の言葉通り、咳だけがしつこく残った。復帰後も、電話の応対中に咳き込んでしまったり、夜、咳で眠れずに翌日の仕事に影響が出たりと、完全復活までには三週間近くを要した。この経験を通じて、佐藤さんは二つのことを痛感したという。一つは、RSウイルスは決して「子供だけの病気」ではないこと。そしてもう一つは、家族の誰かが感染症にかかった時、それは自分自身の問題でもあるということだ。家庭内での感染対策を徹底し、自分の健康を守ることが、結果として、社会人としての責任を果たすことにも繋がるのだと、彼は深く反省したのだった。

  • 高齢者が注意すべきRSウイルス感染症

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    RSウイルスは、乳幼児の重症肺炎の原因として知られていますが、実はもう一つ、重症化のリスクが高い集団がいます。それが、六十五歳以上の高齢者です。若い健康な大人にとっては「しつこい風邪」程度で済むことが多いRSウイルス感染症も、高齢者、特に心臓や肺に持病を持つ方にとっては、命に関わる危険な病気となり得るのです。高齢になると、加齢とともに、体の免疫機能は徐々に低下していきます。また、長年の生活習慣などにより、心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息といった基礎疾患を抱えている人も少なくありません。このような状態の体にRSウイルスが感染すると、ウイルスは容易に気管支や肺の奥深くまで侵入し、重篤な下気道感染症、つまり「肺炎」や「気管支炎」を引き起こしやすくなります。症状も、若い世代とは異なる現れ方をすることがあります。典型的な発熱や咳だけでなく、原因のはっきりしない「食欲不振」や「全身倦怠感」、「意識レベルの低下」といった、非典型的な症状で発症することもあり、診断が遅れる原因ともなります。そして、最も警戒すべきなのが、元々持っている基礎疾患の急激な悪化です。例えば、心不全の患者さんがRSウイルスに感染すると、呼吸器の炎症が心臓に大きな負担をかけ、心不全の症状を一気に悪化させることがあります。同様に、COPDや喘息の患者さんが感染すれば、呼吸困難が深刻化し、酸素投与や、場合によっては人工呼吸器による管理が必要になるケースも少なくありません。高齢者のRSウイルス感染症は、インフルエンザと同様に、入院治療が必要となる割合が高く、死亡リスクも決して低くはないのです。感染経路の多くは、孫など、同居する子供からの家庭内感染です。冬場、子供たちの間でRSウイルスが流行している時期には、高齢者がいる家庭では、特に厳重な感染対策が求められます。子供たちの手洗いやうがいの徹底、咳エチケットの遵守、そして、体調の悪い子供と高齢者の接触をできるだけ避けるといった配慮が、高齢者の命を守ることに繋がるのです。

  • 子供の喘息は小児科へ、その理由とは

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    お子様が夜中に苦しそうな咳をしたり、息をするたびにゼーゼーと音がしたりすると、親としては心配でたまらないものです。子供の喘息(小児喘息)を疑った時、親がまず連れて行くべき診療科は、迷わず「小児科」です。大人の喘息であれば呼吸器内科やアレルギー科が専門となりますが、子供の場合は、まず子供の体の総合的な専門家である小児科医に診てもらうことが最も重要です。その理由はいくつかあります。第一に、子供の気道は大人に比べて細く、粘膜もデリケートです。そのため、大人であれば何でもないような少しの刺激やウイルス感染でも、容易に気道が狭くなり、喘息発作を引き起こしやすいという特徴があります。小児科医は、こうした子供の体の発達段階や解剖学的な特徴を熟知しており、それを踏まえた上で診断と治療を行います。第二に、子供の喘息の診断は、時に難しい場合があります。特に乳幼児では、呼吸機能検査をうまく行うことができないため、症状や診察所見から総合的に判断する必要があります。また、喘息と症状が似ている他の病気、例えばRSウイルス感染症などの気管支炎や、異物の誤嚥などとの鑑別も重要です。小児科医は、こうした小児特有の疾患に関する幅広い知識を持っており、的確な鑑別診断が可能です。第三に、治療における専門性です。小児喘息の治療薬は、吸入ステロイド薬が基本となりますが、その薬の選択や用量の調整には、子供の年齢や体重、症状の重症度に応じたきめ細やかな配慮が必要です。また、吸入器を上手に使えない小さな子供のために、吸入補助器具(スペーサー)を用いたり、保護者への丁寧な指導を行ったりするのも、小児科医の重要な役割です。さらに、小児喘息は、成長と共に症状が改善していく(寛解する)ことも少なくありません。小児科医は、発作時の治療だけでなく、発作を起こさないための長期的な管理計画を立て、子供の成長を見守りながら、将来的に薬を減らしたり、やめたりすることを目指した治療を行ってくれます。このように、診断から治療、長期的な管理まで、子供の特性をトータルで診てくれる小児科こそが、お子様の喘息における最適なパートナーと言えるのです。

  • 市販薬に頼る前に知りたい病院へ行くタイミング

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    市販薬は、その使い方を誤ると、かえって便秘を悪化させたり、腸の健康を損なったりする危険性があることを知っておく必要があります。特に注意が必要なのが、腸を直接刺激して無理やりぜん動運動を起こさせる「刺激性下剤」です。センナやビサコジルといった成分が含まれる薬がこれにあたります。確かに効果はシャープですが、これを長期間にわたって連用すると、腸がその強い刺激に慣れてしまい、次第に薬なしでは排便できなくなる「依存」の状態に陥りやすくなります。さらに、だんだんと効きが悪くなり、薬の量を増やさないと出ないという悪循環に陥ることも少なくありません。これは、腸本来の自然な排便能力を衰えさせてしまう、非常に好ましくない状態です。市販薬は、あくまで旅行中や一時的な体調不良など、急な便秘に対する「頓服薬」として利用するのが賢明な付き合い方です。では、どのような状態になったら、市販薬に頼るのをやめて、専門医の診察を受けるべきなのでしょうか。そのタイミングを見極めるための、いくつかの重要なサインがあります。まず第一に、「市販薬を飲んでも、以前のようにスッキリと出なくなった」「効き目が弱くなり、薬の量を増やさないと効果を感じられなくなった」時です。これは、腸が薬の刺激に慣れてしまっているサインであり、治療方針を見直す必要があります。第二に、「市販薬を週に3、4回以上、常習的に使わないと排便がない」状態が続いている場合です。これは、もはや自力での排便が困難になっている証拠であり、専門的な治療介入が必要です。第三に、「便秘だけでなく、激しい腹痛や吐き気、お腹の張りなど、他のつらい症状を伴う」ようになった時です。薬の副作用や、背景に別の病気が隠れている可能性も考えられます。このようなサインに気づいたら、ためらわずに「消化器内科(胃腸科)」を受診してください。医療機関では、便秘のタイプを正確に診断し、依存性の少ない、より安全で効果的な薬を処方してくれます。近年では、腸の水分分泌を促す薬や、胆汁酸の働きを利用する薬など、刺激性下剤とは全く異なる作用機序を持つ新しいタイプの便秘治療薬が登場しており、治療の選択肢は大きく広がっています。自己判断で市販薬を使い続けるリスクを理解し、専門家と相談しながら、腸の健康を取り戻すための根本的な治療へとシフトすることが大切です。

  • そのしびれは脳のサイン?緊急性の高い危険な症状

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    指先のしびれは、多くの場合、手や首の問題からくるもので、緊急を要するケースは稀です。しかし、ごく一部ではありますが、脳梗塞や脳出血といった、一刻を争う脳の病気の前兆やサインとして現れることがあります。これらの危険なしびれを見逃さないためには、その特徴を知っておくことが何よりも重要です。まず、最も注意すべきなのは、しびれの「始まり方」と「伴う症状」です。脳が原因のしびれは、ある日突然、何の前触れもなく発症することが特徴です。そして、単に指先だけがしびれるのではなく、いくつかの特徴的な神経症状を同時に伴います。例えば、「片側の手足全体がしびれる、または力が入らない」「ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない」「顔の半分が歪む、よだれが垂れる」「立っていられないほどの激しいめまいやふらつきがある」「物が二重に見える、視野の半分が欠ける」「経験したことのないような激しい頭痛がする」といった症状です。これらのうち、一つでも当てはまる症状が指先のしびれと共に見られた場合は、様子を見ている時間はありません。それは「脳卒中」を強く疑うべき危険なサインです。すぐに救急車を呼ぶか、ためらわずに救急外来を受診してください。受診すべき診療科は「脳神経外科」あるいは「脳神経内科」です。これらの科では、CTやMRIといった画像検査を迅速に行い、脳の中で何が起きているのかを正確に診断します。特に脳梗塞の場合、発症から数時間以内に血栓を溶かす治療(t-PA治療)などを行えるかどうかで、その後の後遺症の程度が大きく変わってきます。時間が勝負なのです。「指先のしびれくらいで救急車なんて大げさだ」と思うかもしれません。しかし、もし上記のような症状を伴うのであれば、その判断が生死を分ける可能性さえあります。いつものしびれとは違う、何かおかしいと感じたら、それは体が発している緊急警報です。決して軽視せず、迅速に行動することを心がけてください。

  • 休日や夜間の激しい胃腸炎、救急外来へ行くべき?

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    胃腸炎の症状は、時と場所を選ばず、しばしば休日や深夜といった医療機関が閉まっている時間帯にピークを迎えることがあります。激しい嘔吐と下痢に苦しみながら、「このまま朝まで我慢すべきか、それとも救急外来へ行くべきか」と悩んだ経験がある方もいるでしょう。この判断は非常に難しいものですが、いくつかの目安を知っておくことで、適切な行動をとることができます。まず、一般的なウイルス性胃腸炎であれば、症状は辛いものの、必ずしも全てのケースで救急受診が必要なわけではありません。しかし、以下のような「危険なサイン」が見られる場合は、ためらわずに救急外来を受診することを強く推奨します。最も重要な判断基準は、「脱水症状の程度」です。水分が全く摂れない、あるいは飲んでもすぐに吐いてしまう状態が続いている場合は、脱水が急速に進行する危険があります。特に、「ぐったりして意識が朦朧としている」「尿が半日以上出ていない」「唇や口の中がカラカラに乾いている」「立ち上がるとめまいやふらつきがする」といった症状は、重度の脱水を示唆しており、点滴による水分補給が必要です。次に、「腹痛の性質」にも注意が必要です。胃腸炎の腹痛は、波があるギューッとした痛みが特徴ですが、「経験したことのないような激しい痛みが持続する」「お腹が板のように硬くなっている」「歩くとお腹に響いて痛い」といった症状は、虫垂炎(盲腸)や腸閉塞、腹膜炎など、緊急手術が必要な他の病気の可能性があります。また、「血便」も重要なサインです。便に血が混じる場合、細菌性の胃腸炎や、虚血性腸炎、大腸憩室炎といった病気が考えられ、専門的な検査や治療が必要になることがあります。特に高齢者や、糖尿病などの持病がある方は、重症化しやすいため、早めの受診が賢明です。これらの危険なサインがなく、少量でも水分が摂れており、意識がはっきりしている場合は、自宅で経口補水液などを摂取しながら安静にし、翌朝にかかりつけ医を受診するという選択も可能です。しかし、少しでも判断に迷う場合は、自己判断で重症化するリスクを冒すよりも、救急外行って専門家の診察を受ける方がはるかに安全です。

  • 診断がつかない頭痛は頭痛外来やペインクリニックへ

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    脳神経内科を受診し、MRIなどの精密検査を受けても「特に異常はありません」と言われた。しかし、慢性的な頭痛は一向に改善しない。そのような、はっきりとした診断がつかずに悩んでいる方は少なくありません。片頭痛や緊張型頭痛といった典型的なパターンに当てはまらない、あるいは複数のタイプの頭痛が混在しているなど、診断が難しいケースは確かに存在します。また、薬を飲んでも効果が薄く、治療が難航することもあります。このように、既存の診療科では解決が難しい頑固な頭痛に悩む人々の受け皿となっているのが、「頭痛外来」や「ペインクリニック」といった、より専門性の高い診療の場です。まず「頭痛外来」は、その名の通り頭痛の診療を専門に掲げている外来です。脳神経内科医が中心となって運営していることが多いですが、病院によっては、脳神経外科医、麻酔科医、精神科・心療内科医、理学療法士、歯科口腔外科医など、様々な分野の専門家がチームを組んで集学的なアプローチを行うこともあります。これにより、例えば首や肩の筋肉の問題、顎関節症、精神的なストレスなど、脳以外の多角的な視点から頭痛の原因を探ることが可能になります。一方、「ペインクリニック」は、主に麻酔科医が「痛み」そのものの治療を専門に行う診療科です。薬物療法はもちろんのこと、その大きな特徴は「神経ブロック注射」という専門的な手技にあります。これは、痛みの信号を伝えている神経の近くに局所麻酔薬などを注射することで、痛みの伝達を遮断し、興奮した神経を鎮める治療法です。特に、後頭部を走行する神経が原因で起こる後頭神経痛や、首の問題が関連する頭痛などに対して高い効果を発揮することがあります。また、頑固な片頭痛や群発頭痛の痛みを和らげる目的で用いられることもあります。どこに行っても原因が分からず、治療法も見つからないと諦めかけているのであれば、一度このような頭痛診療のスペシャリストが集まる場所の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。これまでの治療とは異なるアプローチが、長年の苦しみからあなたを解放する新たな光となるかもしれません。

  • つらい便秘の悩みは何科へ相談すべきか

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    お腹が張って苦しい、何日もお通じがなく、出てもスッキリしない。便秘は性別や年齢を問わず多くの人が経験する、非常に身近な症状です。しかし、「たかが便秘」と軽視して市販薬でごまかしたり、恥ずかしさから医療機関の受診をためらったりしている方は少なくないのではないでしょうか。ですが、慢性的な便秘は生活の質を著しく低下させるだけでなく、時には重大な病気が隠れているサインである可能性もあります。では、いざ病院へ行こうと決心した時、私たちは一体、何科の扉を叩けば良いのでしょうか。このような、一般的な便秘の悩みで、まず最初に受診を検討すべき診療科は「内科」あるいは「消化器内科(胃腸科)」です。どちらの科でも、便秘に対する基本的な診察と治療を受けることが可能です。特に、かかりつけの内科医がいる場合は、そこが最も身近な相談窓口となるでしょう。内科医は、全身の健康状態を幅広く診る専門家であり、便秘という症状の裏に、例えば糖尿病や甲状腺機能低下症といった内科的な病気が隠れていないかという視点からも診察してくれます。また、高血圧や他の病気で服用している薬が便秘の原因になっていないかなど、総合的な観点から原因を探ってくれるのも、かかりつけ内科の強みです。一方で、「消化器内科」や「胃腸科」は、その名の通り、食道、胃、腸といった消化器全般を専門とするエキスパートです。便秘の診断と治療においては、より専門性が高い診療科と言えます。特に、市販薬を長年使っても改善しない慢性的な便秘や、腹痛、腹部膨満感といった他の症状を伴う場合、あるいは大腸がんなどの病気が心配な場合には、最初から消化器内科を受診することで、よりスムーズに専門的な検査や治療へと進むことができます。消化器内科では、必要に応じて大腸内視鏡検査などの精密検査を行い、腸に器質的な異常がないかを直接確認することも可能です。結論として、急な便秘や、まずは気軽に相談したいという場合は、お近くの「内科」へ。長引く便秘や、専門的な検査も視野に入れて根本的な原因を調べたいという場合は、「消化器内科(胃腸科)」を選ぶのが良いでしょう。大切なのは、一人で悩まず専門家に相談すること。それが、つらい便秘の悩みから解放されるための、最も確実な第一歩なのです。

  • 下痢に血が混じる!血便を伴う胃腸炎の受診先

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    通常、ウイルスが原因の胃腸炎では、便に血が混じることは稀です。もし、下痢と共に明らかな血便(便器が赤く染まる、イチゴジャムのような便が出るなど)が見られた場合、それは単なる胃腸炎ではなく、より専門的な対応が必要な病気のサインである可能性を考えなければなりません。このような症状で受診すべき診療科は、迷わず「消化器内科(胃腸科)」です。消化器内科は、消化管の出血に対する診断と治療のスペシャリストです。血便の原因を特定するためには、便の培養検査や、場合によっては大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が必要になることがありますが、これらの専門的な検査をスムーズに行えるのが消化器内科の強みです。では、血便を伴う胃腸炎にはどのような原因が考えられるのでしょうか。まず挙げられるのが、「出血性大腸炎」を引き起こすタイプの細菌性胃腸炎です。代表的な原因菌として、カンピロバクターやサルモネラ、そして特に注意が必要なのが、腸管出血性大腸菌(O157など)です。これらの細菌は、腸の粘膜に強い炎症を引き起こして出血させるため、血便や激しい腹痛、発熱を伴います。特にO157は、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な合併症を引き起こし、腎不全や脳症に至る危険性があるため、迅速な診断と適切な管理が不可欠です。また、細菌感染以外にも血便の原因はあります。例えば、「虚血性腸炎」は、何らかの原因で大腸への血流が一時的に悪くなることで、腸の粘膜が炎症を起こし、突然の腹痛と血便をきたす病気です。高齢者や動脈硬化のある方に多く見られます。さらに、症状が長引く場合は、「炎症性腸疾患(IBD)」である潰瘍性大腸炎やクローン病の可能性も考慮しなければなりません。これらは、免疫の異常によって腸に慢性的な炎症が起こる難病で、血便や下痢、腹痛を繰り返します。これらの病気は、いずれも専門的な診断と治療が必要であり、放置すると重症化するリスクがあります。たかが下痢と軽視せず、便に血が混じっていたら、それは消化管からの危険信号と捉え、速やかに消化器内科の扉を叩くことが、自分の体を守るための最も重要な行動です。