指先のしびれは、多くの場合、手や首の問題からくるもので、緊急を要するケースは稀です。しかし、ごく一部ではありますが、脳梗塞や脳出血といった、一刻を争う脳の病気の前兆やサインとして現れることがあります。これらの危険なしびれを見逃さないためには、その特徴を知っておくことが何よりも重要です。まず、最も注意すべきなのは、しびれの「始まり方」と「伴う症状」です。脳が原因のしびれは、ある日突然、何の前触れもなく発症することが特徴です。そして、単に指先だけがしびれるのではなく、いくつかの特徴的な神経症状を同時に伴います。例えば、「片側の手足全体がしびれる、または力が入らない」「ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない」「顔の半分が歪む、よだれが垂れる」「立っていられないほどの激しいめまいやふらつきがある」「物が二重に見える、視野の半分が欠ける」「経験したことのないような激しい頭痛がする」といった症状です。これらのうち、一つでも当てはまる症状が指先のしびれと共に見られた場合は、様子を見ている時間はありません。それは「脳卒中」を強く疑うべき危険なサインです。すぐに救急車を呼ぶか、ためらわずに救急外来を受診してください。受診すべき診療科は「脳神経外科」あるいは「脳神経内科」です。これらの科では、CTやMRIといった画像検査を迅速に行い、脳の中で何が起きているのかを正確に診断します。特に脳梗塞の場合、発症から数時間以内に血栓を溶かす治療(t-PA治療)などを行えるかどうかで、その後の後遺症の程度が大きく変わってきます。時間が勝負なのです。「指先のしびれくらいで救急車なんて大げさだ」と思うかもしれません。しかし、もし上記のような症状を伴うのであれば、その判断が生死を分ける可能性さえあります。いつものしびれとは違う、何かおかしいと感じたら、それは体が発している緊急警報です。決して軽視せず、迅速に行動することを心がけてください。
そのしびれは脳のサイン?緊急性の高い危険な症状