子供からRSウイルスをうつされてしまった大人にとって、最も気になるのは「このつらい症状は、一体いつまで続くのか」「仕事は何日休めば良いのか」ということでしょう。子供の病気と侮っていると、予想以上に長引く症状に、仕事や家庭生活のスケジュールが大きく狂ってしまうことになります。大人がRSウイルスに感染した場合、その治癒までの期間は、症状の重さや本人の免疫力、基礎疾患の有無などによって大きく異なりますが、一般的な経過を知っておくことは重要です。まず、発症してから症状のピークを迎えるまでが、おおよそ五日から一週間程度です。この期間は、発熱、喉の痛み、そして次第にひどくなる咳と鼻水に悩まされます。特に、熱があり、咳の発作が頻繁に起こる急性期は、体を休めることに専念すべきであり、出勤は困難です。法律で定められた出勤停止期間はありませんが、周囲への感染を防ぐという意味でも、この期間は自宅療養が望ましいでしょう。そして、多くの人が戸惑うのが、熱などの急性期の症状が治まった後も、咳や痰、鼻水といった症状だけが、しつこく居座り続けることです。体のだるさは抜けたのに、咳が止まらないため、仕事に集中できない、電話での会話もままならない、といった状況が続くことがあります。この、いわゆる「回復期」が、大人のRSウイルスの厄介な点で、完全に症状が消失するまでには、発症から二週間から三週間、長い人では一ヶ月以上かかることも珍しくありません。職場復帰のタイミングについては、明確な基準はありません。基本的には、「解熱し、全身状態が良好になり、激しい咳が治まった時点」が一つの目安となります。しかし、咳が残っている間は、周囲への感染リスクがゼロとは言えません。復帰後も、しばらくはマスクを着用し、手洗いを徹底するなどの配慮が必要です。最終的な判断は、自分の体調を最優先に考え、可能であれば医師の診断書などを基に、職場と相談して決めるのが良いでしょう。無理な早期復帰は、回復を遅らせるだけでなく、職場での感染拡大を招くリスクもあることを、心に留めておく必要があります。