関節リウマチの治療を受けている方が、年間の医療費負担を少しでも軽減するために、ぜひ活用したい制度の一つが「医療費控除」です。これは、確定申告を行うことで、納めた税金の一部が還付される(戻ってくる)、あるいは翌年の住民税が減額されるという制度です。関節リウマチのように、継続的な通院や高価な薬剤治療が必要な場合、この制度の対象となる可能性は非常に高いと言えます。医療費控除の基本的な仕組みは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の合計が、一定額を超えた場合に適用されるというものです。この「一定額」とは、原則として「10万円」です。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、「総所得金額等の5%」の額となります。ここでいう「医療費」には、病院の窓口で支払った診察料や検査料、処方された薬代はもちろんのこと、通院のために利用した公共交通機関(電車、バスなど)の交通費も含まれます。タクシー代は、緊急時などやむを得ない場合を除き、原則として対象外となるため注意が必要ですが、毎回の通院交通費を記録しておくことは重要です。また、ドラッグストアなどで購入した市販の湿布薬や鎮痛薬なども、治療のために必要なものであれば対象となります。医療費控除を受けるためには、ご自身で確定申告を行う必要があります。会社員の方で、普段は年末調整で納税が完了しているという方も、医療費控除を受けるためには、翌年の2月中旬から3月中旬にかけての確定申告期間中に、税務署へ申告書を提出しなければなりません。申告の際には、1年間に支払った医療費の領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成する必要があります。現在は、領収書の提出は不要になりましたが、明細書の作成と、領収書の5年間の自宅保管が義務付けられています。また、加入している健康保険組合などから送付される「医療費通知(医療費のお知らせ)」を添付すれば、明細書の記入を簡略化することもできます。手続きが少し面倒に感じられるかもしれませんが、特に生物学的製剤やJAK阻害薬といった高額な治療を受けている場合、還付される金額も大きくなる可能性があります。1年間の領収書は大切に保管し、ぜひ確定申告にチャレンジしてみてください。