お子様が夜中に苦しそうな咳をしたり、息をするたびにゼーゼーと音がしたりすると、親としては心配でたまらないものです。子供の喘息(小児喘息)を疑った時、親がまず連れて行くべき診療科は、迷わず「小児科」です。大人の喘息であれば呼吸器内科やアレルギー科が専門となりますが、子供の場合は、まず子供の体の総合的な専門家である小児科医に診てもらうことが最も重要です。その理由はいくつかあります。第一に、子供の気道は大人に比べて細く、粘膜もデリケートです。そのため、大人であれば何でもないような少しの刺激やウイルス感染でも、容易に気道が狭くなり、喘息発作を引き起こしやすいという特徴があります。小児科医は、こうした子供の体の発達段階や解剖学的な特徴を熟知しており、それを踏まえた上で診断と治療を行います。第二に、子供の喘息の診断は、時に難しい場合があります。特に乳幼児では、呼吸機能検査をうまく行うことができないため、症状や診察所見から総合的に判断する必要があります。また、喘息と症状が似ている他の病気、例えばRSウイルス感染症などの気管支炎や、異物の誤嚥などとの鑑別も重要です。小児科医は、こうした小児特有の疾患に関する幅広い知識を持っており、的確な鑑別診断が可能です。第三に、治療における専門性です。小児喘息の治療薬は、吸入ステロイド薬が基本となりますが、その薬の選択や用量の調整には、子供の年齢や体重、症状の重症度に応じたきめ細やかな配慮が必要です。また、吸入器を上手に使えない小さな子供のために、吸入補助器具(スペーサー)を用いたり、保護者への丁寧な指導を行ったりするのも、小児科医の重要な役割です。さらに、小児喘息は、成長と共に症状が改善していく(寛解する)ことも少なくありません。小児科医は、発作時の治療だけでなく、発作を起こさないための長期的な管理計画を立て、子供の成長を見守りながら、将来的に薬を減らしたり、やめたりすることを目指した治療を行ってくれます。このように、診断から治療、長期的な管理まで、子供の特性をトータルで診てくれる小児科こそが、お子様の喘息における最適なパートナーと言えるのです。
子供の喘息は小児科へ、その理由とは