子供が保育園や幼稚園から手足口病をもらってきた時、親として最も気をつけなければならないのが、自分自身への「家庭内感染」です。大人が手足口病にかかると、子供よりも重症化しやすく、看病する親が倒れてしまっては、家庭が機能不全に陥ってしまいます。手足口病ウイルスの感染力は非常に強いため、家庭内での感染を完全に防ぐのは難しい面もありますが、正しい知識を持ち、対策を徹底することで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。まず、最も重要なのが「手洗い」の徹底です。手足口病ウイルスは、便の中に大量に排出され、症状が治まった後も数週間にわたって排出が続くという厄介な性質があります。そのため、おむつ交換の後や、子供がトイレに行った後は、必ず石鹸と流水で30秒以上かけて、指の間や手首まで念入りに手を洗う習慣をつけましょう。これは、看病する親だけでなく、家族全員が徹底すべき基本中の基本です。次に、「タオルの共用を避ける」ことです。トイレや洗面所の手拭きタオルは、ウイルスが付着しやすい感染経路の一つです。可能であれば、この時期だけはペーパータオルに切り替えるのが最も安全です。お風呂のバスタオルも、家族で共有するのはやめましょう。また、食器やコップ、カトラリーの共用も避けるべきです。子供の食べ残しを、もったいないからと親が食べるのも、感染のリスクを高める行為なので絶対にやめてください。子供が使ったおもちゃや、よく触るドアノブ、テーブルなども、ウイルスの温床となり得ます。手足口病ウイルスには、アルコール消毒が効きにくいとされています。消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)や、アルコールの中でも酸性アルコール消毒剤が有効です。これらを使って、こまめに拭き掃除をすると良いでしょう。そして、看病する親自身が、十分な睡眠と栄養を摂り、免疫力を落とさないように心がけることも大切です。これらの対策は、手間がかかり大変ですが、自分と家族の健康を守るために、ぜひ徹底して実践してください。