アシナガバチは、スズメバチに比べれば性格はおとなしいと言われていますが、だからといってその危険性を軽視してはいけません。たとえ一匹だけであっても、アシナガバチの針には強力な毒があり、刺されれば激しい痛みと腫れを引き起こします。もしもの時に備え、その毒性と、刺されてしまった場合の正しい応急処置、そして注意点を知っておくことは非常に重要です。アシナガバチの毒は、主にセロトニンやヒスタミン、各種ペプチドなどの成分で構成されており、これらが体に注入されると、アレルギー反応を引き起こして激しい痛みや灼熱感、そして赤みを伴う腫れといった症状が現れます。通常は、数日から一週間程度で症状は治まりますが、体質によっては、より深刻な事態に発展する可能性があります。最も注意しなければならないのが、「アナフィラキシーショック」です。これは、蜂の毒に対して体が過剰なアレルギー反応を起こすことで、刺されてから数分から数十分という短時間で、全身のじんましんや呼吸困難、血圧の低下といった危険な症状が現れるものです。過去に蜂に刺されたことがある人は、体内に抗体ができているため、二回目以降に刺された際にアナフィラキシーショックを起こすリスクが高まると言われています。もし、アシナガバチに刺されてしまったら、まずは落ち着いてその場から速やかに離れてください。一匹だけだと思っても、近くに巣があり、仲間が寄ってくる危険性があります。安全な場所に移動したら、刺された箇所を指で強くつまみ、毒を絞り出すようにします。この時、口で吸い出すのは絶対にやめてください。口内に傷があると、そこから毒が体内に入る危険があります。その後、流水で傷口をよく洗い流し、冷たいタオルや保冷剤で冷やすことで、痛みと腫れを和らげることができます。症状が局所的な痛みと腫れだけであっても、念のため皮膚科を受診するのが賢明です。そして、もし少しでも気分が悪くなったり、息苦しさを感じたりした場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
一匹のアシナガバチが持つ毒性と刺された時の注意点