家の周りやベランダで、アシナガバチが一匹だけふらふらと飛んでいるのを見かけると、「たった一匹だから大丈夫だろう」とつい油断してしまいがちです。しかし、その一匹のアシナガバチは、実はこれから起こるかもしれない危険を知らせる重要なサインである可能性があります。アシナガバチが一匹だけで行動している場合、その目的は大きく分けて三つ考えられます。一つ目は、単純に餌を探しているケースです。アシナガバチは、芋虫や毛虫などの幼虫を狩って肉団子にし、巣にいる幼虫の餌にします。庭の植物や家庭菜園にいる青虫などを探しに来ているのであれば、特にこちらから何もしなければ、やがてどこかへ去っていくでしょう。二つ目は、巣作りのための材料を集めている場合です。木の皮や朽ち木などを削り取って巣の材料にするため、ウッドデッキや古い木の柵の周りを飛んでいることがあります。この場合も、蜂の目的は巣作りであり、人間を攻撃することではありません。問題なのは、三つ目の「巣を作る場所を探している」ケースです。これは、春先に越冬から目覚めた女王蜂である可能性が非常に高いです。女王蜂は、雨風をしのげる軒下やベランダの天井、窓のサッシの上などを丹念に偵察し、新しい巣を作るのに最適な場所を探し回ります。もし、同じ場所で何度も一匹のアシナガバチを見かけるようなら、それはあなたの家が巣作りの候補地としてロックオンされている証拠かもしれません。この女王蜂一匹の段階で放置してしまうと、数週間後には働き蜂が羽化し始め、あっという間に巣が大きくなってしまいます。アシナガバチを一匹見かけた際は、その行動を少しだけ観察してみてください。すぐに飛び去るなら心配ありませんが、特定の場所を執拗に飛び回っている場合は、警戒を強めるべきサインと捉え、巣作りを予防する対策を始めることが賢明です。