「アシナガバチはスズメバチよりおとなしいし、一匹だけなら怖くない」。そう考えている人は少なくないかもしれません。確かに、アシナガバチは巣を直接刺激しない限り、むやみに人を攻撃してくることは少ない蜂です。しかし、その「一匹だけ」という状況に油断し、誤った対応をしてしまうと、思わぬ反撃に遭う危険性があります。アシナガバチが一匹だけで飛んでいる時、その蜂がどのような状況にあるかによって、危険度は大きく異なります。餌を探している働き蜂や、巣作り場所を探している女王蜂は、比較的攻撃性が低い状態です。しかし、何らかの理由で興奮状態にある蜂もいます。例えば、カラスなどの外敵に巣を攻撃された直後で、警戒態勢に入っている蜂が一匹だけパトロールしている場合などです。このような蜂は非常に神経質になっており、少し近づいただけでも威嚇してきたり、攻撃してきたりすることがあります。私たちが最も油断しがちなのが、洗濯物についている蜂に気づかずに、取り込もうとしてしまうケースです。洗濯物に止まっていた蜂は、突然の振動や接近に驚き、身を守るために反射的に刺してくることがあります。これは、蜂に攻撃の意図がなくても起こりうる事故です。また、「一匹だけ」だと思って棒などで叩き落とそうとする行為は、最も危険な油断と言えるでしょう。その一匹は、見えない場所に作られた巣の「見張り役」かもしれません。その蜂を攻撃することは、巣全体に対する攻撃とみなされ、近くに隠れていた他の蜂が一斉に飛び出してきて、集団で襲われるという最悪の事態を招きかねません。アシナガバチの危険性は、数の問題ではありません。たった一匹であっても、その針には人を苦しめる十分な毒があります。そして、その一匹の背後には、常に巣という集団の存在が隠れている可能性を忘れてはならないのです。どんな状況であっても、蜂との間には適切な距離を保ち、刺激しないという基本原則を守ることが、安全を確保する上で何よりも大切です。
アシナガバチが一匹だけなら怖くない?その油断が危険を招く