鏡を見た瞬間に自分の瞼が赤く腫れ上がっていることに気づくと、多くの人が驚きと不安を抱くものです。見た目の変化が著しいうえに、痛みや痒みを伴うことも多いため、一刻も早く治したいと願うのは当然の心理と言えるでしょう。しかし、いざ病院へ行こうとしたとき、眼科に行くべきか皮膚科に行くべきか、あるいは内科を受診すべきかと迷ってしまうケースが少なくありません。瞼の腫れという一つの症状の裏には、目そのもののトラブルから皮膚の炎症、さらには内臓の疾患まで多岐にわたる原因が潜んでいるからです。まず、最も一般的で最初に検討すべき診療科は眼科です。瞼は眼球を保護するための付属器官であり、その構造は非常に緻密でデリケートです。眼科ではスリットランプと呼ばれる専用の顕微鏡を用いて、瞼の縁にあるマイボーム腺の詰まりや、結膜の充血、角膜への影響などを詳細に観察することができます。いわゆるものもらいと呼ばれる麦粒腫や霰粒腫は、眼科の専門領域です。麦粒腫は細菌感染による急性の炎症で、痛みや赤みを伴います。一方で霰粒腫は、脂を出す腺が詰まってしこりができるもので、痛みは少ないものの放置すると巨大化することがあります。これらの鑑別と適切な点眼薬や軟膏の処方、必要に応じた切開処置は、眼科医の得意とするところです。次に検討すべきなのが皮膚科です。瞼の表面に激しい痒みがあったり、皮膚がカサカサして赤くなっていたり、あるいは化粧品や洗顔料を変えた直後に腫れが出た場合は、接触性皮膚炎、いわゆるかぶれが疑われます。瞼の皮膚は全身の中でも特に薄く、外部からの刺激に非常に敏感です。アイシャドウやアイラインといった化粧品、あるいは手指に付着した物質が瞼に触れることで、アレルギー反応を起こすことは珍しくありません。皮膚科ではパッチテストなどを用いて原因物質を特定し、適切な強度のステロイド軟膏などを用いて炎症を鎮める治療を行います。もし、腫れが両方の瞼に均等に現れており、痛みや痒みがほとんどなく、朝方にひどくて夕方に引くような場合は、内科的な要因を考慮する必要があります。これは浮腫、つまりむくみであり、腎臓や心臓の機能低下、あるいは甲状腺の異常によって全身の水分バランスが崩れているサインかもしれません。特に尿の量が減った、足もむくんでいるといった自覚症状があるなら、一般内科を受診して血液検査や尿検査を受けることが推奨されます。さらに、激しい痛みとともに瞼が腫れ、視力の低下や眼球の動きにくさを感じる場合は、眼窩蜂窩織炎という緊急性の高い重症感染症の可能性があるため、一刻を争って大きな病院の眼科を受診しなければなりません。このように、瞼の腫れは原因によって向かうべき場所が異なります。自分の症状を客観的に観察し、痛みがあるのか、痒いのか、それともただむくんでいるだけなのかを見極めることが、適切な治療への第一歩となります。迷ったときはまず眼科を受診し、そこで目そのものに異常がないことを確認してもらった上で、必要に応じて他の科を紹介してもらうのが、最も合理的で安心できるステップと言えるでしょう。
瞼の腫れを解消するために受診すべき診療科と主な原因の解説