病院をいくつ回っても検査で異常が見つからない、それなのに毎日体がふわふわと浮いたようで、人混みやスーパーのレジで並んでいるときに強いめまいや不安に襲われる。このような症状に悩む女性が近年増えています。耳鼻科で耳石の問題でもないと言われ、内科で血圧や貧血も問題なし、婦人科でもホルモンバランスは正常。そうなると、次に検討すべきなのは心療内科の受診です。このタイプのめまいは「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」や「心因性めまい」と呼ばれ、過去に一度経験した激しいめまいへの恐怖心や、日常的な過度のストレスが原因で、脳の情報の統合機能が過敏になりすぎている状態です。私たちは目からの情報、耳からの情報、足の裏からの情報を脳で統合してバランスを保っていますが、心理的な負荷が限界を超えると、脳がこれらの信号を過剰に、あるいは誤って解釈するようになります。特に完璧主義で責任感が強く、自分の感情を後回しにしがちな女性ほど、体の一部としてのめまいに悲鳴が投影されやすい傾向があります。心療内科を受診することに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「心が弱い」から行く場所ではなく、脳の回路の誤作動を医学的に修正するために行く場所です。治療では、抗不安薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といった、脳内の伝達物質のバランスを整える薬が驚くほど高い効果を発揮することがあります。また、カウンセリングを通じて、どのような状況でめまいが強まるのかというパターンを分析し、認知行動療法的なアプローチで、めまいへの捉え方を変えていくことも非常に有効です。心療内科の医師は、あなたの人生背景を含めて症状を診てくれます。「気のせい」と言われ続けた苦しみから解放され、医学的な名前がつくこと自体が、回復への大きな一歩となるでしょう。ストレスによるめまいは、あなたの体が「もうこれ以上は背負いきれない、休んでほしい」と必死に訴えているサインです。そのサインを無視せず、心の専門家と対話することで、閉ざされていた視界が開け、再び自分の足でしっかりと地面を踏みしめて歩けるようになる日が必ずやってきます。