赤ちゃんのものもらいが判明し、医師から「一日四回の点眼」を言い渡されたその日から、私と息子の静かな戦いが始まりました。それまでの私は、目薬なんて一瞬で終わる簡単な作業だと思っていましたが、現実は甘くありませんでした。生後十ヶ月になり、体の力が強くなってきた息子にとって、顔を固定されることは最大の屈辱であるかのように激しく暴れ、目薬の容器を見ただけで火がついたように泣き出します。最初の数日は、夫と二人体制で一人が手足を抑え、もう一人が無理やりまぶたを開けて差していましたが、終わった後の息子の恨めしそうな表情と、自分の荒っぽい看病に対する自己嫌悪で、私の方が泣きたくなる毎日でした。これではいけないと思い、私は育児雑誌やインターネットを駆使して、赤ちゃんにストレスを与えない点眼方法を必死に調べました。そこで出会ったのが「目頭作戦」でした。無理にまぶたを開けるのではなく、息子を仰向けに寝かせ、目を閉じている状態で目頭のくぼみに薬液を一滴落とします。その後、優しく声をかけたり、お気に入りのおもちゃで気を引いたりして息子がパチパチと瞬きをした瞬間に、薬液が自然に目の中に吸い込まれていくのです。この方法に変えてから、息子の抵抗は劇的に減りました。また、点眼のタイミングを「お昼寝から目覚めた直後」や「授乳の直後」など、少しぼんやりしている時間に合わせることも効果的でした。さらに、私の心の余裕も大切だということに気づかされました。「絶対に差さなきゃ」と必死な形相で迫るのではなく、「お目目を綺麗にしようね」と歌を歌いながら、リラックスした雰囲気を作ることで、息子も少しずつ状況を受け入れてくれるようになった気がします。点眼が終わった後は、これでもかというくらい大げさに褒め、抱きしめることをセットにしました。ものもらい自体は薬のおかげで一週間もせずに完治しましたが、この点眼生活を通して、私は息子との信頼関係の築き方を改めて学んだ気がします。力ずくで解決するのではなく、相手の恐怖心に寄り添いながら、どうすれば安全に目的を果たせるかを考えること。それは、これから続いていく長い子育てのあらゆる場面で必要とされる姿勢でした。今でも、薬局で目薬を見るたびに、あの奮闘した日々を思い出して少しだけ誇らしい気持ちになります。赤ちゃんのものもらいという小さな病気は、私に「親としての忍耐」と「工夫の尊さ」を教えてくれた、大切な経験となりました。