それは冬の冷え込みが厳しい月曜日の夕方のことでした。保育園から帰ってきた五歳の息子が、いつもより元気がなく「寒い」と言いながらこたつに潜り込んだのが最初の異変でした。それからわずか一時間後、息子の顔は真っ赤になり、熱を測るとすでに三十九度を超えていました。これほど急激に熱が上がるのは初めての経験で、私はパニックになりかけましたが、以前ママ友から聞いていたインフルエンザの症状そのものだと思い出し、すぐに受診の準備を始めました。夜中、息子は高熱にうなされ、時折ハッとしたように起きては「あそこに虫がいる」と壁を指差すなど、普段ではありえない言動を見せました。これが噂に聞く異常行動かもしれないと恐怖を感じ、私は一晩中息子のそばを離れず、手を握り続けました。翌朝、小児科で受けた検査の結果はやはりA型インフルエンザ。医師からは「今は熱がピークですが、水分が摂れているなら大丈夫です」と言われ、少しだけ安心したのを覚えています。しかし、そこからの看病は想像以上に過酷でした。熱が少し下がったかと思えばまた四十度近くまで上がり、息子は激しい咳で何度も目を覚ましました。食欲は全くなく、大好きなゼリー飲料を一口飲むのが精一杯の状態で、私は脱水症状にならないようスプーンで少しずつ経口補水液を飲ませ続けました。三日目の夜、ようやく熱が三十七度台まで下がり、息子の顔に笑顔が戻ったときは、心から安堵しました。しかし、熱が引いた後も体力は著しく低下しており、以前のように元気に走り回れるようになるまでには、さらに一週間ほどの時間を要しました。この体験を通して痛感したのは、インフルエンザは単なる風邪とは比較にならないほど、子供の体力を奪う恐ろしい病気だということです。突然の熱、うわ言のような言動、そして激しい咳。これらの症状を目の当たりにすると親は動揺してしまいますが、事前に知識を持っておくことで、何とか冷静に対処することができました。インフルエンザの看病は精神的にも肉体的にも疲弊しますが、子供が苦しんでいるときに一番の支えになれるのは親しかいないのだと、改めて実感した一週間でした。