希少疾患や原因不明の難病に立ち向かう患者さんとその家族にとって、特定機能病院は暗闇の中に差す一筋の光のような存在です。一般的な医療機関では、症例数の少なさから診断さえつかないこともある疾患に対して、特定機能病院は「全方位的な専門知」をもって挑みます。特定機能病院には、ゲノム解析の最新機器や、最先端の画像診断技術、さらには世界中の最新論文をリアルタイムで分析する専門チームが揃っています。難病治療における使命の第一は、正確な診断の確定です。診断がつくまでに何年もかかる「医療の迷子」と呼ばれる患者さんを、特定機能病院が集約して受け入れることで、早期の治療開始を可能にします。第二の使命は、標準治療が確立されていない疾患に対する、新しい治療選択肢の提示です。特定機能病院は治験の拠点でもあり、海外で先行している新薬の導入や、自ら開発した革新的な治療法を臨床の場で試す場としての役割を果たします。ある難病患者の事例では、全国の病院を回っても「治療法なし」と言われていた中で、特定機能病院の専門外来を受診したことで、特定の遺伝子変異に合致する分子標的薬の治験に参加することができ、劇的な改善を見せたというケースもあります。このような「奇跡」を科学的根拠に基づいた「実績」に変えるのが特定機能病院の力です。また、多職種連携による包括的なサポートも、特定機能病院ならではの強みです。難病治療は、単に薬を出すだけでは完結しません。遺伝カウンセリング、リハビリテーション、栄養管理、心理的ケア、そして社会的な福祉制度との連携など、複雑なニーズに応えるために、医師、看護師、ソーシャルワーカー、遺伝カウンセラーなどが一つのチームとなって患者を支えます。さらに、特定機能病院は「難病情報のハブ」としての役割も担います。自院での経験を蓄積し、それをガイドラインとしてまとめ上げることで、全国の他の病院でも同様のケアができるよう普及させる責任があります。難病と闘うことは、患者にとっても医療従事者にとっても孤独な戦いになりがちですが、特定機能病院という組織が介在することで、それは「社会全体の課題」として体系化されます。特定機能病院が掲げる使命は、たとえ今は治せない病気であっても、その正体を暴き、希望の糸口を見つけ出すこと。そして、すべての患者が最先端の英知の恩恵を受けられる環境を整え続けることに他なりません。そのたゆまぬ努力が、日本の医療のフロンティアを常に押し広げているのです。
難病治療の最前線で特定機能病院が果たすべき使命