私はかつて、エアコンの効いた快適なオフィスで働くことを誇りに思っていましたが、その環境が自分の体をこれほどまでに破壊するとは夢にも思っていませんでした。数年前の夏、私は仕事の繁忙期と重なり、一日の大半を二十三度に設定された冷気の中で過ごしていました。最初の異変は、首から肩にかけての異常な強張りでした。最初はただのデスクワーク疲れだと思い、マッサージに通って誤魔化していましたが、次第に足の先が氷のように冷たくなり、真夏なのに厚手の靴下を履かなければ夜も眠れないほどになりました。それでも私は、外の猛暑に比べれば天国だと思い込み、冷房の設定を下げることこそが効率的だと信じて疑わなかったのです。事態が深刻化したのは、八月の半ばでした。朝、起き上がろうとした瞬間に激しい眩暈と吐き気に襲われ、そのままベッドから崩れ落ちました。手足の指先は紫色に変色し、感覚が麻痺していました。病院へ運ばれたとき、医師から告げられたのは「重症の冷房病による自律神経の壊滅的機能低下」という言葉でした。血圧は異常に低く、胃腸の動きは完全に停止しており、体温調節機能が壊れてしまっていたのです。そこからの数ヶ月間は、まさに地獄のような闘病生活でした。真夏の太陽の下に出ても汗をかくことができず、体内に熱がこもって高熱が出る一方で、室内に入れば微かな冷気でも骨の芯まで痛むほどの寒気を感じる。私の体は、外界の環境に適応する力を完全に失っていました。仕事は休職を余儀なくされ、暗い部屋で電気毛布にくるまりながら、自分の愚かさを呪いました。冷房病は、軽いうちは笑い話のように語られますが、重症化すれば人生そのものを停止させる恐れがある恐ろしい病気です。私は回復までに一年の歳月を費やしました。現在でも、過剰に冷えた場所に行くと当時の症状がフラッシュバックし、体が拒絶反応を起こします。私が失ったのは時間だけではありません。かつてのような頑健な体も、冷房という環境に対して無防備であったために、取り返しのつかないダメージを受けてしまったのです。今、冷房の効いた部屋で少しでも違和感を感じている方がいたら、どうか私のように無視しないでください。その冷えは、あなたの体が発している最後通牒かもしれません。設定温度を一度上げること、羽織るものを一枚増やすこと。その小さな配慮が、あなたの未来を救うことになるのです。