自分の体力を過信し、多少の不調は寝れば治ると信じて疑わなかった私が、人生で初めて「手術」という現実を突きつけられたのは、昨年の夏のことでした。始まりは、仕事で重い段ボールを運んでいた時に感じた、下腹部のわずかな違和感でした。最初は「筋を痛めたかな」程度に思っていましたが、数日経つと、右の足の付け根あたりに、ゴルフボールを半分に切ったような柔らかな膨らみが出現しました。指で押すと「グニュ」という感覚とともに中身が戻り、痛みもそれほどなかったため、私は病院へ行くのを後回しにしてしまいました。これが私の大きな間違いでした。それから数ヶ月、膨らみは徐々に大きくなり、夕方になるとズーンとした重苦しい痛みが足を伝うようになりました。何科に行くべきか迷い、最初は腰の病気かと思って整形外科に行きましたが、そこで「これは脱腸ですね。外科に行ってください」と言われ、ようやく自分の病名を知ることになったのです。外科の診察室で医師から説明された内容は衝撃的でした。「ヘルニアは自然に治ることはありません。このまま放置して、もし腸が詰まって戻らなくなったら、その日のうちに緊急手術をして、腸を切り取らなければならなくなりますよ」という宣告。その「嵌頓」というリスクを聞き、私はようやく事の重大さを理解しました。手術を決意し、選んだのは腹腔鏡による最新の術式でした。お腹に三つの小さな穴を開け、カメラと器具を使って内側からメッシュを当てるという、まるで精密機器の修理のような手術です。手術当日の朝は不安でいっぱいでしたが、全身麻酔から目が覚めたときには、あんなに私を悩ませていた足の付け根の膨らみが、嘘のように消え去っていました。術後の痛みも予想よりずっと軽く、翌日には病院の廊下を歩くことができました。退院後、以前のような重苦しさから解放された生活を送る中で痛感したのは、なぜもっと早く外科へ行かなかったのかという後悔です。「たかが膨らみ」と思っていたものが、実は常に命の危険と隣り合わせの状態だったのだと知り、背筋が凍る思いをしました。もし私と同じように、足の付け根に違和感や膨らみを感じている方がいたら、どうか「痛くないから」という理由で放置しないでください。外科の先生は、あなたの体の穴を塞ぐだけでなく、将来の不安も一緒に塞いでくれます。手術は決して怖いものではなく、自分らしい健やかな毎日を取り戻すための、最も前向きなステップでした。あの日の決断が、今の私の元気な足取りを支えてくれています。